北前船の交易から貿易港としての開港、そして北洋漁業による繁栄の時代を経て観光都市として賑わいを見せる函館の街は、その手頃な大きさの中に歴史に培われた独特の港町文化を漂わせている。山裾の異人館や教会、和洋折衷や石造りの民家や商家、蔵に赤レンガの倉庫、山を見上げ海を見下ろす数々の坂道、路面電車が行き交う古くて新しい街角。切り取った風景が絵になり、呟いた言葉が詞となって・・・・
函館を歌い込んだご当地ソングの代表は「函館の女」であろう。「女」と書いて「ひと」と読ませた北島三郎のヒット曲は、「女シリーズ」として物語性を持って日本各地へ旅に出た。近隣の知内出身の北島三郎は函館西高等学校へ汽車通学をしていたと言い、ベイエリアには現在「北島三郎記念館」が観光客を迎えている。
歌謡曲の華やかなりし昭和の時代には、多くの流行歌に函館そのものが持つ詩情性が歌われ、「函館ブルース」「夕陽の街函館」「函館の雨はリラ色」・・・・
函館港イルミナシオン映画祭
平成7年に「函館山ロープウエイ映画祭」として、あがた森魚監督「オートバイ少女」や篠原哲雄監督「草の上の仕事」などでスタートし、 平成10年の5回目を節目として“21世紀の映画祭”を模索すべく「函館港イルミナシオン映画祭」と名称を変更・・・・
2007「函館港ロープウェイ映画祭」URL
坂道を通して見下ろす海峡の港、山裾に点在する教会と異人館、レトロとモダンの交錯する町並みと路面電車、赤レンガの倉庫群、テレビドラマやCMで眼にする函館の街は旅情を誘って魅力をたたえる。そうしたノスタルジックでエキゾチックな佇まいと手頃な街の大きさから、多くの映画作品にもロケ地として使われている。日本映画が輝いていた昭和30年代から40年代には、時代を映して日活や東映の人気スターのアクション映画に、その絵になる街を以って彩を加えている。
「渡り鳥(日活 59年~62年)」シリーズの実質第一作「ギターを持った渡り鳥」と最終作「北帰行より 渡り鳥北へ帰る」、同じ日活作品の「硝子のジョニー 野獣のように見えて」、「夕陽の丘」「落葉の炎」「骨まで愛して」、そして「飢餓海峡(東映)」「続網走番外地(東映)」、「逃亡と掟(松竹)」・・・・