坂道を通して見下ろす海峡の港、山裾に点在する教会と異人館、レトロとモダンの交錯する町並みと路面電車、赤レンガの倉庫群、テレビドラマやCMで眼にする函館の街は旅情を誘って魅力をたたえる。そうしたノスタルジックでエキゾチックな佇まいと手頃な街の大きさから、多くの映画作品にもロケ地として使われている。日本映画が輝いていた昭和30年代から40年代には、時代を映して日活や東映の人気スターのアクション映画に、その絵になる街を以って彩を加えている。
「渡り鳥(日活 59年~62年)」シリーズの実質第一作「ギターを持った渡り鳥」と最終作「北帰行より 渡り鳥北へ帰る」、同じ日活作品の「硝子のジョニー 野獣のように見えて」、「夕陽の丘」「落葉の炎」「骨まで愛して」、そして「飢餓海峡(東映)」「続網走番外地(東映)」、「逃亡と掟(松竹)」・・・・